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トイ・ストーリー3は性的にみても面白い
そろそろネタばれ気にせず書いてもいいですよね。吉澤です。

トイ・ストーリー3は公開して間もなく観てきました。

で、そこに描かれるジェンダーが面白いなーと思ってたんですよね。あ、性的っていっても登場キャラクターはオモチャなのでセクシュアルな見方は少ないんですけども。

痛快だったのは、バービーとケン(※ケンはバービー人形シリーズの、ボーイフレンド役の着せ替え人形)の描かれ方です。
他のキャラクターの多くが、いわゆるヒーローだったり悪役だったりと、昔ながらの『ありがちな』人物モデルを演じているのに対して、この2人はとても現代的なんです。

バービーについてはあまり説明がいらないかもしれません。自立した現代女性のキャラクターです。
イデオロギーを確立させていて、しっかりと自己主張できて、洞察と心理に長けていて、非力だけれど必要とあらば肉体的な力も使います。
作中で、油断したケンを縛り上げて精神的な拷問にかけるシーンはすばらしいものでした。

ともすると『女性』というだけで肉弾戦を避けるように描かれそうなものですが、バービーは非力な肉体をわかった上で逆算して、自分の力だけでケンに勝てるポイントにまで、心理戦を使って引きずり込むんですね。
決して暴力的なキャラクターではないのですが、目的を達成するために力を総動員するというのは、まさしく自立した姿です。
もし、「あたしが引き付けている間にお願いね!」なんて言って男性キャラクターに頼るようだったら古臭くて観てられなかったかもしれません。

ケンのほうも、もうひとつのリアルです。
他の悪役の『男の子のオモチャ』たちから、『女の子のオモチャ』だとバカにされるシーンで怒りをあらわにするのですが、その後のシーンで「おしゃれに興味のあるやつがいない」とし、暗に『性別によるのではない』ことを訴えるのですね。
ようするに、バービーとケンは非対称ながらも同じテーマを示す役割なんです。

考えとしては、ケンは正しいです。『女の子のオモチャ』であることは嘲りにすぎず、何の性質も表していません。しかし、よほど苦しんだ経験があるのか、『女の子のオモチャ』というキーワードにカチンときてしまって適切に対処できません。
もし、「話をすり返るな。ボクなら上手くやってみせる。」と自信を示せれば『女の子のオモチャ』を脱するチャンスだったでしょうが、ケンは他のシーンでも視野が狭くて感情的になりやすく、子どもっぽさを感じさせるキャラクターです。

実のところ、ケンの本当の苦しみは『仲間たちから認められていないこと』、承認欲求の不満です。そうなってしまう原因は仲間たちよりも物理的な力と自立心に欠けていて、集団に従属的な性格ゆえなのですが、ケンは悪口を真に受けて『女の子のオモチャ』であることが原因だと勘違いしたかもしれません。

すると、ケンにとって『女の子のオモチャ』であることは動かしがたい事実なので、さらに苦悩し、結果として、『性別によるのではない』という気休めを生み出すことに成功したのでしょう。が、悪口に対しての、とりあえずの気休めです。
本当は、バービーがケンにやったように、ケンが相手に対して圧倒的な意志と行動を示し、「コイツはオレの思い通りにならないヤツだ」と悟らせる必要がありました。

ケンがそのことに気づくより先に、バービーはケンが抱える心の隙、承認欲求の不満を満たしてさらなる隙をうかがい、前出の縛り上げて拷問となるのですが、2人の素敵なところは、互いの立場ゆえに争わなければならないだけであり、憎しみあいではないところです。

バービーは信念があるので一歩も引きません。友だちを助ける、過ちを正す、など、ゴールも見えているので一手も無駄のない展開です。対するケンは、もとより承認の満たされのない集団へ忠義などあるはずもなく、大切な服を惜しんで秘密を話してしまいます。
もちろん、ケンにとって最大のゴールはバービーと結ばれることです。バービーもそれがわかっているし、自らも望んでいます。ただ、それとこれとは別だし、今は優先順位が違う。そんなことまで全てわかっているかのようで、2人の間には不思議な信頼関係がみてとれます。ここが作中で最もエロティックなシーンで(トイ・ストーリーだと思うと笑えますが)、表面的な拷問と深層にあるむつみ合いが描かれる様は、まんまSM表現です。
この多重で複雑な心理描写こそが『女の子のオモチャ』らしかったかも、しれません。

最終的に、物語はケンにとってもハッピーエンドで終わります。
でも、ケンはバービーほどには自立した存在に成長しません。ここがまた良いところです。

ラスト付近に2人の物語はほとんど描かれませんが、ケンは愛をつらぬいて行動することに自信を持つようになったのだと思います。バービーの知略とも違う、情に厚くて真っ直ぐな性格がケンの良さとして開花します。どうみても個として優れているのはバービーで頼りがいもありますが、人の心を惹きつけリーダーを務められるのはケンのほうなのです。
実際に作品を観て、バービーをスゴイ!と思いつつ、でも、ケンが忘れられないという人は多いんじゃないでしょうか? それがケンの才能です。


人形の心理について考えるという奇行をしましたが、作品はそれぞれのキャラクターの性格がよく設定してあって本当に面白いです。これでも端折ったほうなんですが(特にバービーについて)、2人のことだけでもだいぶ書けちゃいますね。それだけ見所が多いということです。

最後に、
トイ・ストーリー3はマイノリティの悩みやジェンダーにまつわる論議に疑問を投げてもいます。(決して直接のメッセージではないですが。)
この作品は誰も死なないし、いなくなりもしません。ただパズルのピースが納まるように「その人にあったところにいられればハッピーだ」とでも言いたげです。ケンの性格がガラッとは変わらないように、悪役も最後まで改心しません。最初はちょっとだけひねくれた性格だったのが災いして、最後にはお仕置き的なかわいがられ方をしますが、それもゴミですら愛する人間がいたとみれば心暖まる話です。

とても楽しくて、感動できる物語なので、まだの方はぜひどうぞ、とオススメしておきます。あ、せっかくなので3D吹き替えでどうぞ。

あと、さすがに今回は下品するのやめときます、ね・・。うずうず。
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【2010/08/09 18:34】 | 2010 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
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